企業規模の拡大や、商品の生産過程の複雑化、嗜好の多様化やきめ細かな販売戦略が求められるなど社会の複雑化にともない、経営者の理念や情熱、経験値だけでは継続した企業経営を行うことは難しくなってきています。このような中で注目されているのが経営工学です。経営の個々の目的、例えば、質、コスト、生産、情報などに対応したシステムを設計し、管理方法やプロジェクトの設定、運用方法、日常のマネジメントの中で発生する諸問題の解決方法などについて研究していきます。
問題解決には、限られた資源を有効に利用して、目的を最大限に達成するための数理的な意思決定を行い、最適の手法を求めるオペレーションズ・リサーチ(OR)という分野が注目されています。さらに、コンピュータが人間の意思決定を助けるシステムの研究なども進められており、経営工学が活躍する範囲は今後さらに広がると予想されます。工学的な視点で企業経営をマネジメントできる知識を持っていれば、企業の一員としての活躍はもちろん、経営コンサルタントとしての活躍や、自ら起業するという道も開けてきます。

最新技術を駆使して作り上げた高度なシステムでも、事故が発生するのはなぜでしょうか。その原因の一つとして人為的なミスがあげられます。どうすれば人為的ミスを減らすことができるのかを考えるためには、人間の思考にはどのような特性があり、それがなぜ間違いに結びつくかを探る必要があります。それには認知心理学の知見が有効です。認知心理学は、認知を人間の情報処理過程とみなし、知覚、記憶、思考、言語など、人間の情報処理の仕組みについて研究する学問です。認知心理学で得た知見を工学(人間工学)に取り入れ、設計やシステムの工夫、あるいは心理的な感情の変化などをふまえてデザインすることで人為的ミスの削減につなげることが可能となります。

- 工学分野の意外な一面として「経営工学」を紹介します。統計などの数値によって裏づけされた理論から、企業の経営資源を効果的に活用するための学問で、技術や製品開発以外で企業の経済活動に役立つ分野であることを示しています。

- 経営工学が具体的に企業活動のどんなところで生かされているのかについて触れます。身近な例を紹介することでイメージしやすくなります。
・ 一つの商品を生産するための、生産ライン、機械から品質管理まですべての面にわたって理想の生産管理システムを研究する。(どうすれば生産性があがるのか?どうすればコストを削減できるのか?)
・ 会社の中のあらゆる活動について数学的に整理・分析し、事象の説明や予測に応用する。例えばスーパーの1日の来客数に応じたレジの数の設置を統計等から導き出す(少なければ顧客のストレスがたまり来客数の減少につながる、多すぎれば無駄な設備投資になる)
