医療に携わる仕事は医師や看護師などの医療従事者だけではありません。病院で使われている医療機器や義肢装具、人工臓器などは工学(医用生体工学)の分野から生み出されており、病気の早期発見や治療を可能にしています。医用生体工学とは、工学の知識を医学へ応用し、検査機器や人工臓器、生命維持管理装置など、さまざまな医療機器の研究開発をする学問です。例えば、MRIという検査装置は“核磁気共鳴”という現象を利用して作られたもので、生体内部の情報を画像化することができます。この装置のおかげで、病気の早期発見が可能になったり、検査時の負担を軽減することができるようになりました。
また、現在医療の分野で注目を集めているものの一つに、医療用ロボット(手術ロボット)の開発があります。これは手術を補助する機械装置で、医師がカメラの映像を見ながら機械をコントロールし、微細な動作を可能にするものです。こうした「ロボット」を使うことで、患者の体への負担を減らしたり、人間だけで行う以上に、精密で的確な手術を行うことができます。
医療の分野では、医師や看護師などの医療従事者だけでなく、このような医療機器の開発や失った手足、臓器の代わりとなる機械を開発するという形で活躍する道もあります。

富士フイルム株式会社
カメラやフイルムのイメージが強い富士フイルムですが、1983年、世界に先駆けてデジタルX線画像診断システムを開発し、世界トップシェアを占めています。内視鏡診断分野では、患者さんの苦痛を大幅に軽減した、鼻から入れる「経鼻内視鏡」をはじめ、小腸全域を観察できるカプセル内視鏡や、手術用処置具、画像ソフトウエアなど、さまざまな医療機器を開発しています。
旭化成株式会社
サランラップや化学薬品メーカーとしてのイメージが強い旭化成ですが、糖尿病の検査に有効な診断薬や医療用医薬品(新薬)、透析療法などに必要な血液浄化法の治療材料などを提供しており、医薬・医療分野でも多くの製品を開発しています。この他にも、食事が困難な方のための流動食や、視力矯正用コンタクトレンズなど、医薬品以外の分野でも研究開発を行っています。

- どんな業界も工学分野から生み出された技術や製品なしには仕事が成り立たちません。工学分野は、あらゆる業界の活動(仕事)を支える重要な役割を担っており、その一例として医療分野を紹介しています。

- 患者の治療や看護、検査をする人⇒医療従事者
患者の治療や検査をする薬⇒薬学分野から生まれる
患者の治療や看護、検査をする機械⇒工学分野から生まれる
医療機械の進化によって、病気の早期発見や効果的な治療が可能になり、完治率を高めることに貢献しています。医療分野への貢献は、直接患者さんに接する医療従事者だけではないことを説明します。
